未来に残していくべき日本の伝統工芸 秋田樺細工茶筒の魅力

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山桜の美しさと職人の技が織りなす、自然との暮らし

自然が生み出す美しい木の文様が特徴的な樺細工。「樺」の名を冠していながら、使われている素材は山桜の樹皮を用いています。古来の万葉集や源氏物語では、この山桜の樹皮を「樺桜」といい、多くの和歌に詠まれています。

樺細工は、日本の伝統工芸のひとつであり、人が愛してやまない桜の樹皮を用い、美しい光沢と文様が十二分に活きるよう、独特の技法で磨き上げています。樺細工の特徴は、防湿、防乾に優れており、なおかつ製品が丈夫でしっかりしている所がポイント。伝統的工芸品にも指定されたその技術は、「みちのくの小京都」、秋田県角館にのみ伝えられ、日本の心を伝える工芸品として、世界で愛されています。

樺細工の歴史

角館に樺細工の歴史が始まったのは、天明年間(1781~1789年)のこと。大凶作と飢饉が続いた時代、藩から支給される俸禄だけでは食べていけなくなった下級武士の副業として広まり、藩からも奨励されたのが樺細工という生業でした。

強靭で、防湿性、防乾性を持つ、という山桜の皮ならではの特徴を活かした製品は、印籠や煙草入れなどの生活用品がほとんどでしたが、その製品は、武士が手掛けたものらしく、緻密で繊細な妥協を許さない逸品ばかりです。使い続けることで、その飴色の光沢は透明感を増し、味わい深い渋みを醸し出す。そして、現代。素朴ながら、日本特有の精神でもある、「わび」「さび」をも感じさせる樺細工は、従事者65名、年間生産額2.7億円という、角館の基幹産業に成長しました。

樺細工の特徴は、あめ皮、ちらし皮、ひび皮など12種類にも分けられた山桜の皮を、用途によって使い分ける技法です。

木地の表面に木の皮を貼ったものや、木の皮を何層にも貼り重ね、彫刻して磨き上げたものなど、木の皮が持つ独特の味わいを十二分に活かすよう、一つひとつ、手間ひまをかけつつ、手仕事で製品が作られています。

木の皮に全く同じものがないため、同じ道具でも同じ模様のものは決してないという点も樺細工の魅力。世界でひとつだけの自然美を、自分の手元で味わうことができるのだ。そんな樺細工の伝統と、妥協を許さない精神を守り、工芸品として昇華させたのが、民藝の父、柳宗悦でした。

宗悦は、生活道具づくりのひとつにすぎないと軽んじられていた樺細工をひと目見て、「日本固有のもので、他国ではあまり見られない」と驚き、その伝統が受け継がれるべく、技術を書き残したり、新たな商品づくりのアイデアを職人たちに伝えたりしました。

その活動は、現在、ブローチやループタイ、スマートフォンケースなどの、現代の生活の中に活きる小物を作る技法に応用されており、自然美と手仕事の融合が生む、唯一無二の美は、今も暮らしの中に息づく逸品を生み続け、長く愛用できる暮らしの中の作品として、受け継がれています。

北欧諸国やカナダのデザイナーにも影響を与える

北欧諸国(スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマークなど)やカナダでは、樺細工に対する関心が年々高まりつつあります。その理由は、自分たちの国々も秋田同様に寒冷であることや自然に恵まれた地域であって、尚且つ環境に対する高い意識があるからです。

こうした地域では、長い歴史を持つ自然素材を使用した伝統工芸品や、持続可能性を重視した製品が広く受け入れられており、秋田樺細工もその傾向に合致しています。この影響は、デザイナーやアーティストにも及び、彼らは樺細工からインスパイアを受けて新たなデザインや製品を生み出すことがあります。自然素材の美しさやサステナビリティの重要性を強調する樺細工は、北欧やカナダのデザインコミュニティにおいても注目され、新たなクリエイティブなアイデアの源となっています。

樺細工の影響を受けた海外のデザイナー

オーケ・アクセルソン(Ake Axelsson)1932〜 スウェーデン

家具、小物、建築までなんでもこなすデザインの巨匠。10代から椅子やテーブルを中心とした家具作りを始め、コンストファック(国立美術工芸デザイン大学)卒業後も、機能性とシンプルを兼ね備えた多くのモダンな家具を手掛けています。また家具デザインだけでなく、スウェーデン国会議事堂や公立図書館等のインテリアデザインまで行い、小物の製作では、日本の伝統工芸の影響も受けました。

クリスティーナ・ストランド (Christina Strand )1968~ デンマーク

デンマークの工業デザイナー。デザインスクール卒業後の1998年、夫であるニールズ・ヴァスと共に始めたデザインユニットから、デザイナーとしての道を歩みます。伝統的なデザインを踏襲すると同時に、新しい技術や素材を用いた作品を得意としています。特にデンマーク皇太子のための椅子『REX』は彼女の素材の可能性への探求心がうかがえます。彼女も椅子、テーブル、デスク、食器棚などの家庭用工業デザインが主ですが、キッチンやダイニング家具にアクセントをつけるための小物製品では、日本の伝統工芸に多くを学び影響を受けています。

こんな方に使っていただきたい

ずっと長持ちだから、何世代も先の未来に残したい

樺細工の魅力は何といっても、ずっと長持ちできる工芸品であること。少し皮がダメになったとしても、皮を貼りなおしたり手直しができてしまうので、親から子、子から孫へと幾千の世代に向かって受け継ぐことができます。

茶道家をはじめ、美味しいお茶やコーヒーにこだわりたい方

樺細工は、お茶やコーヒー豆を天敵である湿気から守ることができ、市販の茶筒とは比べ物にならない程の保全性を持ちます。茶道を嗜む方にはよく愛用されますし、お茶やコーヒーを常に美味しくいただきたい!という方は、樺の茶筒を持つことをおすすめします。

商品ラインナップ

藤木伝四郎 金筒 茶筒 無地皮

¥22,000

ポイント:220pt

藤木伝四郎商店のオリジナル茶筒。「金筒(かなづつ)」(能作+角館伝四郎)は樺細工の「帯」と「つまみ」を時と共に表情を変えていく「真鍮」で仕立てた茶筒です。富山県高岡市の老舗鋳物メーカー「能作」が仕立てた「真鍮」の落ち着いた輝きと、桜皮の質感の組み合わせは使い込む事によりしっとりとした表情へと育っていきます。デザイン:山田佳一朗

キャニスター100g

¥16,500

ポイント:165pt

明治9年創業の樺細工製造販売元「八柳」と地産レーベル「casane tsumugu」が2022年に立ち上げた共同ブランド「YATSU」のキャニスター。 伝統的な技法や作り方を継承しながら、現代のライフスタイルを意識した商品づくりを行っています。コーヒー豆用にサイズをデザインし、ふだんの暮らしはもちろん、アウトドアの場面でもお使いいただきたく、桜皮の中でも素朴で荒々しい美しさを持つ希少材「霜降皮」を用いてつくったシンプルなデザインの一品。 樺細工の筒は湿気を避け乾燥を防ぐ特性を持っており、古来から薬入れや煙草入れとして用いられてきました。本製品は珈琲豆用に容量を合わせていますが茶筒や菓子入れとしてもお使いいただけます。天然の桜皮のため、お使いいただくうちに艶が増し、色合いも変化し、経年変化をお楽しみいただけます。永くご愛用いただけたら嬉しく思います。

桜とひばの茶筒 大 らでん

¥11,550

ポイント:115pt

明治9年創業の樺細工製造販売元「八柳」 長年親しまれているスタンダードな樺細工の総皮茶筒です。使うほどに色艶が深まり、手に馴染んでいく経年変化をお楽しみいただけます。緑茶で約150gが入るこの茶筒は、樺細工初心者の方にもオススメの一品です。 桜皮は「呼吸している」と言われ、山桜の皮を用いて作られる茶筒は調湿性に優れ、完全に外気を遮断しないため結露の心配もありません。筒内の湿度を低く一定に保ってくれるので自然に近い状態でお茶やコーヒー等を保存することができます。また、鉄製品とは異なり、錆びの心配もありません。 職人の磨き抜かれた技で一本一本手作業で作られる茶筒は、樺細工ならではの「温もり」が感じられます。樺細工の茶筒が、みなさまのティータイムをより豊かな時間になることを願っております。

総皮茶筒 桜 L

¥12,100

ポイント:121pt

筒の表面と内側、蓋と、すべてに桜皮(山桜の樹皮)を使った“総皮づくり” に、沢胡桃の経木で桜の花をあしらった可愛らしい茶筒です。茶筒表面の桜皮は、長期間乾燥させたうえ、薄くなるまで削ってから磨いて艶を出します。そのため天然の幹の模様がそのまま表面に表れ、一つひとつが違った表情を見せてくれます。また桜皮は適度な湿度を保つ通気性・通湿性に優れ、抗菌性ももち合わせています。さらに職人の丁寧な手仕事によって密閉性も高く、デリケートな茶葉の保管に最適です。桜皮のアメ色は使い込むほどに深みを増し、美しい光沢を生み出します。

総皮茶筒(大)霜降皮 貝入 散花

¥15,400

ポイント:154pt

藤木伝四郎商店のスタンダードな茶筒「総皮茶筒 霜降皮」に桜の花びらが舞い散る情景を、桜皮と螺鈿(らでん)で表現した茶筒。 日々、使い込む程に落ち着いた色味に変化していきます。

総皮茶筒(大)散花

¥13,200

ポイント:132pt

藤木伝四郎商店のスタンダードな茶筒、「総皮茶筒 無地皮」に、桜の花びらが舞い散る情景を桜皮で表現した茶筒。日々、手沢によって光沢が増し、使い込むほどに落ち着いた色味に変化していきます。

秋田樺細工の魅力についてもっと知りたい方はこちら

東北standard 藤木伝四郎商店【PR】
1851年に創業した初代伝四郎の「品を磨き、信頼を磨く」という精神は、現在の伝四郎まで脈々と受け継がれています。一つずつ丁寧に、ものをつくり上げることが信頼に繋がっていくと信じて、この精神を次の世代にも引き継いでいきます。樺細工の産地を守るため、また、先人が築き発展させてきた伝統を次の世代へ受け渡すため、藤木伝四郎商店は歩を進める。

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